1. HOME
  2. コラム
  3. 新書ピックアップ
  4. 海外で暮らす7人の日本人ライターが報告する「夫婦別姓」など注目の新書5選

海外で暮らす7人の日本人ライターが報告する「夫婦別姓」など注目の新書5選

「夫婦別姓」

 欧米と中国・韓国で暮らす7人の日本人ライターたちが、それぞれの国の歴史や現状を実体験を交えて報告する。中国や韓国、ベルギーでは別姓が原則で、英国などでも別姓は選択可だ。多様なカップルのあり方が示され、同姓を法律で強制する日本の異様さが浮かび上がる。
★栗田路子ほか著 ちくま新書・1034円

「ルポ 死刑」

 2018年7月、オウム真理教元幹部13人に死刑が執行されたが、当時の法相は執行を2回に分けた理由や元幹部の様子などを全く説明しなかった。死刑囚はどのように最後の日を迎えるのか。元受刑者や刑務官らへの取材から死刑囚の日常に迫り、密行主義が貫かれる日本の死刑制度を問う。
★佐藤大介著 幻冬舎新書・1034円

「ドイツ・ナショナリズム」

 「メルケル後」が動き出したドイツ。古代から2千年に及ぶその歴史を、「普遍」を目指す潮流と「固有」を目指す潮流のせめぎ合いとして描く。神聖ローマ帝国期の「発展」、フランス革命との対決からヒトラーまでの「抵抗」、敗戦の「萎縮」、再統一での「再生」ととらえる。
★今野元(はじめ)著 中公新書・1056円

「江戸の学びと思想家たち」

 山崎闇斎(あんさい)、伊藤仁斎、荻生徂徠、貝原益軒……素読という「知の身体化」を共有した個性豊かな人々をたどり、彼らの織りなす江戸思想史を「学び」と「メディア」の視点から捉え直す。ネット社会で「学びにおける身体性」が失われつつある今、その復権に多くの示唆を与える。
★辻本雅史著 岩波新書・968円

「暗記しないで化学入門 新訂版」

 化学を「暗記物」として嫌う人に高校レベルの化学の本質と面白さを伝えるのが本書の目的だ。東海大学先進生命科学研究所長の著者が、2000年刊行の旧版に修正を加える形で、電子と立体構造を軸に化学結合に焦点を絞って基礎から分かりやすく解説する。
★平山令明著 講談社ブルーバックス・1100円=朝日新聞2021年12月18日掲載