あの会社はこうして潰れた [著]藤森徹

2017年05月14日

■経営破綻の裏側、泥臭いドラマ描く

 大企業の倒産は大きなニュースになっても中小企業の経営破綻(はたん)が詳細に報じられることは少ない。その裏側にある泥臭いドラマを帝国データバンクの情報部長が描き出す。
 倒産に至った要因はさまざまだ。世界情勢や為替相場の変動、産業構造の変化はもちろん、無謀な投資、拡大路線の行き詰まり、事業継承の失敗などが絡み合う。
 旅行会社、植物工場、呉服販売、ゴルフ場、病院など、登場する業種も幅広い。各事例がコンパクトにまとめられているため物足りない感もあるが、知りたいことの要点は押さえられている。
 ジーンズの「エドウイン」、防虫剤の「白元」、500年の歴史を持つ和菓子の「駿河屋」といった名の通った企業や、コメの産地偽装に手を染めた、あの老舗米穀卸の末路も。不正や詐欺あり、闇経済の暗躍ありと、まるで現代社会の縮図を見るよう。77億円を集めたワイン投資ファンドの破産は、推理小説さながらに謎めいている。
 他山の石として、身を引き締めるもよし。取引先の危険なサインを見抜く参考にするもよし。「パクリ屋」と呼ばれる取り込み詐欺集団の手口や、倒産の予兆をまとめたコラムにも刮目(かつもく)したい。(梶山寿子=ジャーナリスト))

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