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躍進するコンテンツ、淘汰されるメディア [著]角川歴彦

2017年06月18日

■全産業を再定義、誰が覇権を握るのか

 映画系の「ネットフリックス」など新興の動画配信サービスが増えている。メディアでいま起きているのは、グーグルやアップルなどのIT大手、通信大手、放送業者を巻き込む「デジタル流通の覇権争い」だという。著者は映画製作や動画配信も行うKADOKAWAの取締役会長。当事者的な問題意識が興味深い。
 グーグルは2012年、メディアは液晶画面の「スクリーン」系と新聞や雑誌などの「非スクリーン」系に二分され、メディアで消費される時間の9割がスクリーン系になると宣言した。本書のテーマは、そのメディアで誰が覇権を握るのかという点にある。
 著者は日本の通信や放送業界における挑戦と失敗を描きながら、米国で進行してきた技術革新とメディアの興亡を描く。そしてアップルやアマゾンの取り組みを整理していく中、著者は「21世紀とはすべての産業が再定義される」時代だということに気づく。
 全産業に共通する再定義は破壊と創造を伴う凄(すさ)まじさがあるが、著者はコンテンツ製作では日本への期待を隠さない。「今日ほど日本のコンテンツ製作力がアメリカ、中国をはじめ全世界から期待される状況を僕は知らない」。その言葉にすこし励まされる。
(森健=ジャーナリスト)

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