ビジネス

新版 社員をサーフィンに行かせよう―パタゴニア経営のすべて [著]イヴォン・シュイナード

2017年07月16日

■利益を生み出す、自律的なやりくり

 アウトドア用品メーカー「パタゴニア」の創業者、シュイナードは、「アップル」のジョブズと並ぶ起業家のカリスマだ。サーファー、鷹匠(たかじょう)、クライマー、フライフィッシャーマン兼鍛冶(かじ)屋という彼は、自分をビジネスマンと呼ぶことに「忸怩(じくじ)たる」思いを持つという。なぜなら、ビジネスこそが「地球を汚してきた張本人だから」だ。
 しかし同時に、「食べ物を作り」「雇用を生みだし」「生活の質を高める」のもビジネス。正負のせめぎ合いを克服するべく、半世紀前の創業以来、「事業を通じてよい行いをどれだけできたかが最終損益」という哲学を、一貫して追求してきた。
 株式の公開には目もくれず、今も同族経営を続けるなど、同社の経営は常道破りのオンパレードだ。その中で、「社員をサーフィンに行かせる」フレックスタイム制も、いち早く実施した。自律的なやりくりが、生産性につながり、利益を生み出すのだ。
 副題の通り「パタゴニア経営のすべて」が詰まった本書は、どのページを開いても徹底的な思考に満ちている。80歳を前に、ハードなアウトドア活動をこよなく愛する著者にとって、ビジネスも大いなる冒険の原野なのだろう。
 (清野由美=ジャーナリスト)

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