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生涯投資家 [著]村上世彰

2017年08月06日

■話題になった案件と自らの哲学語る

 2000年代前半、「モノ言う株主」「村上ファンド」で名を馳(は)せた村上世彰氏。06年にインサイダー取引で逮捕され、有罪判決を受けた氏が、初の自著で過去の投資案件と投資哲学について記した。
 小3の時に十年分のお小遣いとして百万円を父からもらい、サッポロビールに投じたのが氏の最初の投資。東大卒後、官僚として16年務めたのち、投資家として独立した。
 本書では、02年のアパレルメーカー・東京スタイルへの株主還元要求、03年のニッポン放送株の7%購入、05年の阪神電鉄株の大量保有など、話題になった案件の経緯が語られる。当時、氏は金儲(もう)けしか考えない「悪質な投資家」のように報じられていたが、そこには一定の考えがあったことがわかる。上場企業に対して経営が健全に行われているか、という観点から企業を監視するコーポレート・ガバナンス(CG)の考え方だ。
 きつい言い方のせいで嫌がられたことは認めつつ、投資の原点にはCGがあったと氏は繰り返し語る。物言うことは「投資家の大切な責務」という氏の主張も読後には強い説得力をもつし、日本企業の問題点も見えてくる。ただし、過去の関係者は本書をどう読むのだろうか。
 (森健=ジャーナリスト)

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