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AMETORA―日本がアメリカンスタイルを救った物語 [著]デーヴィッド・マークス

2017年09月17日

■ファッションからみる一級の戦後史

 日本で男性ファッション文化がどのように育ち、アメリカが逆輸入するような状況になっていったのか。そんな歴史を描いたのが本書である。
 米ハーバード大卒で東京在住のライターの著者は、日本のアイビーファッションの生みの親で「VAN」創業者、石津謙介の物語から始める。
 当初は誤解も多く、アイビーが普及する中で不良の集まりだとして警察が動いたことすらある。一方、石津の息子やその仲間たちは本場アメリカのアイビー文化を伝えようと、大金をはたいて現地での撮影取材を敢行する。
 そんな数人の熱意が出版と共にアイビーを広める一方、岡山ではジーンズの開発が始まる。ジーンズは1960年代の学生運動やヒッピー文化などから急速に広がるが、そんな運動が冷めた後に花開くのが「ポパイ」を中心とするカタログ雑誌文化だった。
 著者はヤンキー文化やデザイナーズブランド、90年代の裏原宿も捉えながら、日本のファッションを支えてきた人たちの動きを活写していく。丁寧に掘り下げた取材と知られざる事実の積み重ねは読者を最後まで飽きさせない。
 本書はファッション文化史でもあるが、一級の戦後史ノンフィクションでもある。
 (森健=ジャーナリスト)

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