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西野亮廣「革命のファンファーレ」 ネット時代の本の売り方を指南

革命のファンファーレ―現代のお金と広告 [著]西野亮廣

 漫才コンビ、キングコングのつっこみ担当、というより、発行部数32万部の『えんとつ町のプペル』の作者として話題の絵本作家が放つ、ネット時代の本の売り方の指南書だ。既存の概念が覆される。
 『プペル』発売から約3カ月後、著者はネット上で全編無料公開した。結果、部数はさらに7万〜8万部急伸した。なぜか。公開日に約200万人がアクセス。1%でも「紙の本を買おう」と思えば、「その時点で2万部は売れる」。
 本の制作費はクラウドファンディングで調達。2回実施し、計約5650万円の支援額と当時歴代最高の約1万人の支援者を獲得した。リターンの一つとして『プペル』の絵本展の開催権利を解放。一般人をつくり手側に巻き込むことで、費用ゼロの「広告の連鎖」を起こしていった。
 ネット時代は「信用」が資源になるとの確信が原点だ。クラウドファンディングは「信用をお金化するための装置」。信用を得るには芸人でも「自分の意思を明確に表明する」。そこでスポンサー頼みを脱し、自ら会費制オンラインサロンを開設した。ネット上ではすべてが「無料化」する時代のパラダイム転換。
 一読後、脳裏に「革命のファンファーレ」が鳴り響く。=朝日新聞2017年11月19日掲載