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経営継承の鎖―「歴代成長」企業のDNAを探る [著]松田真一

2018年04月07日

■カリスマ社長より、チームの結束力

 経営継承を機に衰退する企業と代々成長を重ねる企業。その違いはどこにあるのか。
 日本の大企業57社について、過去30年間の社長在職期ごとの盛衰に焦点を当てた初の調査に野村総合研究所の上席コンサルタントが挑んだ。
 結果、継承の成功実績の高いトヨタ自動車、ブリヂストン、三菱電機、アサヒグループホールディングスの4社が浮上。この4社と他社の比較から、ある経営慣習が継承後の経営に影響を及ぼす次のような「因縁の鎖」が判明する。
 社長在職中、役員が入れ替わる慣習がある企業は、経営判断の経験値が社長だけに溜(た)まって「経験値格差」が生まれ、継承後に衰退を招く。カリスマ社長であるほどこの傾向は強い。反対に経営陣維持の慣習がある企業は経験値が経営陣に蓄積され、後継世代に引き継がれ成長を続ける。
 社長ではなく、経営陣に着目した背景には、米国で2000年以降、リーダーシップの定義が個人の「統率力」から、個人間の「結束力」へと進化してきたこともあるようだ。米国でもこの間、経営陣維持へと移行し始めた。
 社長の統率力より経営陣の結束力。「後継者を『個人』ではなく『チーム』で選ぶ必要がある」との提言は新鮮だ。
 勝見明(ジャーナリスト)

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