「人類の歴史とAIの未来」書評 人間とはどんな生き物なのか
評者: 長谷川眞理子
/ 朝⽇新聞掲載:2019年07月13日
人類の歴史とAIの未来
著者:バイロン・リース
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ジャンル:情報理論・情報科学
ISBN: 9784799324622
発売⽇: 2019/04/27
サイズ: 19cm/431p
人類の歴史とAIの未来 [著]バイロン・リース
昨今、AI(人工知能)がどれほど発展していくのかについて、議論がかまびすしい。本当にAIが人間の仕事のほとんどを奪うような時代が来るのだろうか?
本書は、生物である人類の歴史が、これまでどのように進展してきたのかを、まずは概観する。言葉を話し、火を使うようになった。次に、農業を始め、都市を作った。そして、文字を使い、車輪を発明した。これらが人類の歴史における画期的な技術の転換点。そして、今度はAIである。
個別の特殊な作業だけではなく、人間のようになんでも対応可能な汎用AIが本当にできるのか? それは、そもそも人間とはどんな生き物であると考えるかにかかっている。
さて、あなたは、人間は究極的に、物理的に説明可能な機械だと考えますか? それとも、生命には、物理的世界とは異なる何かがあると考えますか? 読者自身に考えを問いながら進むAI談義は秀逸である。