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「放課後さいころ倶楽部」に出てくるボードゲームを遊んでみた①「ゲシェンク」 好書好日ボドゲ部

 『放課後さいころ倶楽部』は、京都の高校を舞台に、アナログゲームを通じて成長していく少女たちの姿を描く青春群像マンガです。2013年から「ゲッサン」(小学館)で連載され、昨年、テレビアニメにもなりました。毎話のようにゲームを遊ぶ場面が描かれ、ルールも念入りに紹介されており、知らないゲームに出会うガイド本としての役目も果たしています。今回遊ぶ「ゲシェンク」は2004年にドイツで発売されたカードゲームで、デザイナーはトーステン・ギムラー。マンガでは主要登場人物の父親が営むゲームカフェの店名としても登場しています。

放課後さいころ倶楽部17巻

ルール説明(インスト)

・3~35までのカード33枚とチップを使います。カードの束から9枚をランダムに抜き出して、残り24枚で山札を作ります。1番上のカードをめくります。プレーヤーはそれぞれ11枚のチップを持ってゲームスタートです。

カードとチップはこちら。実際はカードは1枚だけ場に公開されます。

・手番でやることは、①カードを引き取る②引き取らずカードの上にチップを出す、のどちらかです。引き取ったカードは書かれた数字の数だけマイナスポイントとなりますが、一緒に引き取ったチップはプラスポイントになります。

・ただし、引き取ったカードが連続する場合、もっとも小さな数字のみがマイナスポイントになります。たとえば、11、12、13を引き取った場合、マイナスになるのは11だけです。

・山札のカードがすべて引き取られるとゲーム終了。マイナスポイントが一番少ない人が勝者となります。

いざプレイ

 今回参加したのは好書好日に加え、きょうだいサイトの「telling,」「sippo」「GLOBE+」「かがみよかがみ」の編集部有志です。4人で対戦しました。

 緒戦、最初のカードは21。大きくも小さくもない悩ましい数字です。1巡は誰もとらず、2巡目に入ったところで、「かがみよかがみ」M君が「取ってみるか」と引き取りました。次のカードは25。こちらは1巡したところで「telling,」Oさんが引き取ります。はじめのうちは、みな相場感がわからず、黙々と引き取っていきます。

序盤の展開。1戦目なので、チップを公開していますが、本来は手持ちのチップは隠してプレイします。

 しばらくして、場に23が出ました。M君(21)にもOさん(25)にも近い数字ですが、山札を作る際にカードが抜き出されているため、間を埋めるカードがあるかどうかはわかりません。他の2人は全く不要。結果、Oさんが引き取ります。さらにしばらくして、24が登場。Oさん以外には全く不要ですが、すぐ取るのではなく、みなにチップを出させてから、悠々と引き取ります。

 あまりえり好みをしていると、手持ちのチップが足りなくなり、必ずカードを引き取らなければならなくなります。上記の展開の場合、ある程度チップが乗っていれば、自分が不利とわかっていても、Oさんもまた不利になるため(23、24、25とそろっていればマイナス23点だが、24がないとマイナス48点になる)、チップの補充のために、あえて取りに行くてもあります。

 1回のプレイ時間は15~20分程度。あっという間に終わります。つい「もう1戦」とゲームを重ねていったのですが、この日はOさんの「引き」が神がかっていました。彼女は少々大きめのカードでも、早めはやめに引き取ります。その引きっぷりに「なんでこのタイミングで取るんだ」との声をあげていた編集部T君や「Globe+」Hさんは、チップが枯渇ぎみで、孤立した30番代のカードを泣く泣く引き取るはめに。そして、次に公開されたカードがことごとくOさんにとって有効なカードだったりして、ふんだりけったりです。とにかく、不要なカードを引き取らないためにも、チップを切らさないように運用することが一つのコツといえそうです。

 ちなみにOさんが勝ったときの最終得点は、マイナス10~20点台。なかなかプラスで終えることは難しいですが、不可能ではないようです。

あるゲームの最終盤。32,33,35を持つプレイヤーがいる場で34が。みなチップをむしりとられていくばかりの展開に。

ゲームを終えて

 「ゲシェンク」はドイツ語で「贈り物」の意味。ゲーム全体のメカニズムはある種の「競り」です。ただ自分が欲しいカードを取るために値をつり上げていくのではなく、カードを押しつけるためにチップを載せて価値を引き上げていく「逆競り」。基本ルールだとランダム性が高いという場合のバリエーションとして、10、20、30だけを抜いて遊ぶルールもあり、こちらはよりひりひりした駆け引きを味わえます。今回遊んだのは2004年に発売されたドイツ版。11年には、7人まで遊べる新版も出ています。