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「電柱マニア」書評 魅力伝える独創的な萌え本

評者: 須藤靖 / 朝⽇新聞掲載:2020年11月14日
電柱マニア 著者:須賀 亮行 出版社:オーム社 ジャンル:技術・工学・農学

ISBN: 9784274226007
発売⽇: 2020/09/19
サイズ: 21cm/157p

電柱マニア [著]須賀亮行

 「私が電柱にハマったのは3歳の頃でした」「小学1年生頃から、割りばしを使った電柱模型作りを始めるようになりました」「私は電柱の柱(棒)だけが好みなのではありません。電柱の魅力は、電柱の上部に付けられている設備(変圧器、がいし、腕金など)があってこそです」
 この前書きが電柱愛に貫かれたマニアックな本書の真髄(しんずい)を語り尽くしている。
 訪日外国人は日本の電柱の多さに驚く。皮肉にも、日本のインフラ整備の遅れを示す端的な例が、世界に類を見ないユニークな文化になっているわけだ。電柱の歴史と現状を記録し後世に残す意義は極めて高い。
 果たしてどんな人が読むのだろうとの謎も、「電柱を見るために他人の敷地内に無断で入ったり、電柱に上ったりすることは絶対にしないでください」との懇切丁寧な注のおかげで氷解した。おそらく採算度外視で独創的電柱萌(も)え本を世に問うたオーム社の勇気にも心から賛辞を贈りたい。