1. HOME
  2. 書評
  3. 「選挙活動、ビラ配りからやってみた。」書評 不思議な慣習に驚き、「有権者」の意識が育った

「選挙活動、ビラ配りからやってみた。」書評 不思議な慣習に驚き、「有権者」の意識が育った

評者: 宮地ゆう / 朝⽇新聞掲載:2022年02月19日
選挙活動、ビラ配りからやってみた。 「香川1区」密着日記 著者:和田 靜香 出版社:左右社 ジャンル:政治・行政

ISBN: 9784865280616
発売⽇:
サイズ: 19cm/205p

「選挙活動、ビラ配りからやってみた。」 [著]和田静香 [取材協力]小川淳也

 昨年10月の総選挙で、注目を集めた香川1区。その選挙戦を体験しようと、ライターの著者が、小川淳也衆院議員(立憲)の選挙戦を手伝いながら記録した異色の選挙日記だ。
 軽快に描かれる選挙の不思議な慣習の数々、どぶ板選挙の現実。ふつうの人にとって、選挙が縁遠い理由がよくわかる。一方で、ビラを配り、電話をかけ、選挙カーに乗ってはじめて見えるものがあるのだと知る。
 著者のマイペースな選挙ボランティアは、最後に突如クライマックスを迎える。最終盤、著者は小川氏にあることを意見する。小川氏は困惑し、家族は泣き、事務所は大混乱に。張り詰めたやりとりののち、小川氏は受け入れる。
 このときハタと気がついた。小川氏に教えを請うていた著者は、いつの間にか自分の意見をはっきり表明する有権者になっていた。そして、そんな有権者を育て、対話の土台を作ったことこそが、この選挙戦の最大の成果だったのだと。