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山行記 [著]南木佳士

[評者]

[掲載]2011年04月17日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像


 医師・作家の多忙で過酷な日々から極度の神経衰弱に陥り、うつ病になり、やがて50歳を過ぎてから山歩きを始めた著者が、若手医療者たちの誘いで北アルプス・笠ケ岳から槍ケ岳を1日で踏破する。そんなことが自分にできるのか。「あんなところまで無理だよなあ」と遠く望んだ頂に、汗を流して体を運ぶ「わたし」。ハードな山行きでは「わたし」の輪郭が次第におぼろげになり、山の気の中に溶け出していく。下りてから「書く」という行為は、山をさまよったままの「わたし」を言葉の担架に乗せて降ろすことという。風景より、行動する自身の内側に意識を向けた、風変わりだがこれもまた山紀行。浅間山、白峰三山など4編。

 (山と渓谷社・1575円)

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