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「科学の横道」書評 コミュニケーション活動の目指すべ方向

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2011年05月08日
科学の横道 サイエンス・マインドを探る12の対話 (中公新書) 著者:佐倉 統 出版社:中央公論新社 ジャンル:新書・選書・ブックレット

ISBN: 9784121021045
発売⽇:
サイズ: 18cm/274p

科学の横道 [編著]佐倉統


 副題は「サイエンス・マインドを探る12の対話」。日本の文化システムにおける科学技術のあり方を探る対談で、編著者が、芸術、文学、介護などの分野で活躍する人々と語り合う。漫画家の浦沢直樹は、「科学」という言葉自体がノスタルジーと言い、1970年の大阪の万国博覧会までの科学が“僕にとっての科学”であり、それ以降の科学は専門家だけの世界になってしまったと指摘する。また評論家の東浩紀は、一般の人と科学とを結ぶためには、科学とは一見関係がないことを独自の視点で堂々と語れるような総合知識人的な科学者が増えなければ、と語る。科学コミュニケーション活動の目指すべき方向を考えさせられる。(中公新書・882円)