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ニッポンの書評― [著]豊崎由美

[評者]田中貴子(甲南大学教授)

[掲載]2011年05月22日

[ジャンル]文芸 新書

表紙画像

■書きたい人も読みたい人も

 本への愛だけじゃだめ。書評には、書くテクニックと書き手の知見が必要だ。書評はあくまで「評」である。単なる感想文とは一線を画すものなのだ。
 では、どんな書評が「いい書評」なのか? 知りたい人は本書を開いてごらん。いくつもの実例が俎上(そじょう)に乗せられ、明快な口調で解きほぐされてゆく。書き手の背後に読書経験の歴史があり、それによって本が新たな角度から再構成されるような書評に出会うと、その本の世界がより豊かに、魅力的に見えてくる。いい書評とは、読みたくなる気にさせるもの。著者は言う、「書評は読者に向かって書かれなければならない」。シンプルで、しかももっともなことを、書き手は決して忘れてはならないのである。
 真面目で情熱的で、ちょっと辛口な書評論。新聞各紙の書評も5段階評価で採点されてるというと、ほら、こっそりのぞいてみたいでしょ? 書評を読みたい人も書きたい人も必読である。
 田中貴子(甲南大学教授)
     *
 光文社新書・777円

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