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砂上のファンファーレ [著]早見和真

[評者]

[掲載]2011年05月29日

[ジャンル]文芸

表紙画像


 はっきりと希望を見せてくれるのも、フィクションの魅力の一つだ。映画化された『ひゃくはち』でデビューした作家が、そんな家族小説を描いた。
 母は病気になった。父は借金に苦しんでいた。兄は嫁とすれ違い、弟は大学をやめる。どん底かと思った底が抜けるような苦悩の連続。ただどんな苦しみが迫り、足場が揺らいでも、壊せないものがある。「それが家族なんだ」と物語は叫んでいる。
 家族それぞれのキャラクターが立ち、テンポ良く話が進む。こんなにうまくいくものか、と思いながらも、期待してしまう希望を裏切らない。人間の無力さを感じる時代だからこそ、ど真ん中、直球勝負が心地良い。(幻冬舎・1470円)

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