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夫の彼女 [著]垣谷美雨

[評者]逢坂剛(作家)

[掲載]2011年06月05日

[ジャンル]文芸

表紙画像

■体が入れ替わる主婦と派遣社員

 人物が入れ替わる〈if〉ものは、小説、映画とも珍しくないが、本書もその一つ。 人妻が、夫の浮気の相手と話をつけようと、やり合っている最中に魔法使いが現れ、「相手の立場になってみろ」とばかり、2人の体を入れ替えてしまう。入れ替わるのが、まじめ一方の専業主婦とヤンキー言葉まる出しの女子派遣社員というところに工夫がある。
 妻であり母である小松原菱子が、急に柄の悪いヤンキー言葉になり、夫や子供を戸惑わせる。他方、勤務先で白眼視されていた山岸星見が突然、会社の製品について率直かつ建設的な意見を出し始め、同僚や上司を驚かす。その対照の妙を、著者は達者な語り口で畳みかけ、読み手を引っ張っていく。
 典型的なシチュエーションコメディーで、結末はこうなるしかないという予定調和で終わる。たわいないといえばいえるが、2人のキャラクターが生きいきと描かれているので、読後感はさわやかだ。
 逢坂剛(作家)
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 双葉社・1470円

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