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再会 [著]横関大

[評者]逢坂剛(作家)

[掲載]2010年09月26日

[ジャンル]文芸

表紙画像

■殺人めぐり疑心暗鬼になる4人

 今年度の、江戸川乱歩賞受賞作。女性美容師を脅し、金と体を要求したスーパーの店長が、何者かに射殺される。凶器は、残された弾丸の条痕から、23年前のある事件で使われた、警察官の制式拳銃と判明する。
 美容師と離婚したその夫、事件の捜査にかかわる刑事、そして殺された店長の異母弟は、かつて小学校の同級生だった。4人は卒業に際して、校庭の隅にタイムカプセルを埋めた。その中には問題の拳銃もはいっており、刑事は残りの3人のうちだれかが、それを掘り出して使ったもの、と狙いをつける。久しぶりに再会した4人が、互いに疑心暗鬼になる展開がおもしろい。さらにそこへ、県警の若い腕利き刑事がからみ、4人の結束を少しずつ崩していく。
 物語は、主に幼なじみ4人の視点で、順繰りに語られる。しかし、作者が登場人物の心理描写を、恣意(しい)的に取捨選択して書くので、都合の悪い情報は伏せられる。それをアンフェア、と感じる人もいるかもしれない。逆に、これくらいは本格ミステリーに許される誤導だ、と擁護する向きもあるだろう。
 その判断は、読者にゆだねるしかない。
 逢坂剛(作家)
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 講談社・1680円

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