書評・最新書評

セナvsプロスト-史上最速の“悪魔”は誰を愛したのか!?[著]マルコム・フォリー 

[評者]辻篤子(本社論説委員)

[掲載]2010年09月05日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像


■クルマが輝いていた時代

 F1史上最高のドライバーといわれ、日本でも絶大な人気を博したブラジル人レーサー、アイルトン・セナがレース中の事故で亡くなって16年になる。
 熾烈(しれつ)なチャンピオン争いを繰り広げたライバルのフランス人レーサー、アラン・プロストのインタビューを交え、2人がたどった足跡と確執を、英国のスポーツ記者がたどっている。
 2人の車はレース中に何度も接触し、互いを非難し合った。そこから浮かび上がるのは、勝利にかけるセナのすさまじいまでの執念だ。
 「勝つためには何でもする」中での技術へのこだわりは、エンジンを担当したホンダの技術陣との間に、強い絆(きずな)を生んだ。その結果が、ホンダエンジンを駆っての通算3度、歴代4位タイとなる世界チャンピオンだ。
 1990年前後、確かに、ホンダとセナの時代だった、と思う。向かうところ敵なし、そんな日本の技術があり、その心意気に応えて自らの能力の限界にも挑戦する若者がいた。
 クルマという20世紀最大の工業製品が輝いていた時代。すぐれて20世紀的な挑戦の記録、といえようか。
 辻篤子(本紙論説委員)
   *
 五十嵐哲訳、イデア・2310円

関連記事

ページトップへ戻る