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クリント・イーストウッド ハリウッド最後の伝説 [著]マーク・エリオット

[評者]江上剛(作家)

[掲載]2010年02月21日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

表紙画像

■トップを維持する秘密と執念

 クリント・イーストウッドといえば「ミリオンダラー・べイビー」に見られるような偏屈、孤高な老人を演じるとともにアカデミー賞の常連であり、作品賞、監督賞のオスカーにも輝くハリウッドのトップ俳優、監督だ。
 また、私たちは「ダーティハリー」などの映画で、ヒーローとしての良いイメージを持っている。しかし本書は、そんなイメージを壊してくれる。実生活の彼は家庭を顧みず、共演した女優とすぐに関係を持つ。愛人として長く付き合った女優ソンドラ・ロックが妊娠した際、2度も中絶を強要する非情な男だ。別れる際の「女優としての彼女に十分な報酬を与えてやった。このうえさらに、愛人としての報酬まで払えというつもりか?」という悪態には驚く。
 ひどい男だと思いつつも、他の名優たちが消えていく中で、トップを維持し続ける秘密やアカデミー賞主演男優賞へのすさまじいまでの執念を理解すると、不思議に彼を嫌いにはならない。ハリウッドビジネスの裏側も堪能できる本書を読めば、3月8日(日本時間)のアカデミー賞発表が待ち遠しくなる。
 江上剛(作家)
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 笹森みわこ・早川麻百合訳、早川書房・2625円

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