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ネット検索革命 [著]アレクサンダー・ハラヴェ

[評者]小杉泰(京都大学教授)

[掲載]2010年02月14日

[ジャンル]IT・コンピューター 社会

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■便利で安全な「集合知」の利用を

 最近は何かを調べる時、まずネットで検索するのが普通となっている。グーグルで調べることを「ググる」と呼ぶ若者用語もある。
 インターネット上には膨大な情報があるため、検索の機能がなければ情報を探し当てることはできない。ネット上の情報を集めて索引付けするのが「検索エンジン」であり、それをグーグル、ヤフーをはじめとする大手の私企業が仕切っている。
 検索のランキングは公平そうに見えるが、さまざまな問題がある。これらの企業は広告で収益をあげており、そのための操作もある。ランキングの仕組みを公表しないことも問題である。何よりも寡占と集中がインターネットを狭めている。
 誰もが自由にホームページやブログで発信できるため、インターネットは自由で公平なメディアになると期待されてきた。しかし、もはや検索の上位に来ないと存在しないも同然、と著者は指摘する。
 大半の人は、検索結果のトップページの上の方しか見ない。私たちが与える「注目」は限られており、検索会社はその「注目」の奪い合いをしている。そこでは、米国の大企業が圧倒的に有利という。
 検索によって、ネット上にある細かな個人情報が集められるようになり、プライバシーの侵害も懸念されるようになった。検索エンジンは利用者の検索の行為もいちいち記録しており、将来その情報が何に使われるかという不安もある。
 かといって、元には戻れない。ネット検索は現代の知識のあり方を革命的に変えた。検索エンジンに飼いならされずに、利用していく方法を探るしか道はない。
 著者が示唆するのは、社会性のある検索の仕組みである。機械が自動的に集めた情報をランキングする汎用型検索に対して、個別の分野の検索方法として、人の手も加えて信頼性を高める方法があり、小規模ながら発展している。ネット上の情報を「集合知」として、便利に安全に利用するためのネット検索が必要とされている。
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 田畑暁生訳、青土社・2310円/Alexander Halavais 71年生まれ。米キニピアック大学准教授。

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