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見とれていたい―わたしのアイドルたち [著]柴崎友香

[評者]平松洋子(エッセイスト)

[掲載]2010年02月07日

[ジャンル]文芸 アート・ファッション・芸能

表紙画像

■世の宝を賛美する目線芸
 二十五年くらい前、都心のビルでエレベーターを待っていると、開いた扉のむこうがきらきら輝いていた。そこに立っている松坂慶子さんには後光が射(さ)していました。いまでも、松坂慶子さんが目を輝かせながら「まあ」「あら」と言うとき、わたしはその稀(まれ)な美女ぶりにうっとりして、感動さえおぼえる。
 見とれる視線はひとを幸福にしてくれる。奇跡みたいなかわいさ、美しさに心撃ち抜かれて柴崎さんが綴(つづ)るのはチャイナドレスのマギー・チャン、バンビ顔のペネロペ・クルス、美神カトリーヌ・ドヌーブ……十代からオーバー70まで「素敵な女の子はこの世の宝!」。
 「目線芸」とでも名づけたい蠱惑(こわく)的なエッセイだ。女目線でも男目線でもなく、クールかつ的確に分析しても、“上から目線”の嫌みやひがみがぜんぜんない。読んでいると、掌(てのひら)にのせた宝石を胸ときめかせていっしょに見つめている気分。
 栄えある日本人枠には安室奈美恵と松坂慶子(うれしい!)。巻末の「美女観測日記」で、広田レオナを「女があり余っている顔と体型」と賛美するセンスにも、ぐっときた。
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 マガジンハウス・1470円

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