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勇気ってなんだろう [著]江川紹子

[評者]江上剛(作家)

[掲載]2010年01月24日

[ジャンル]社会 新書

表紙画像

■つらい境遇、克服した11人の軌跡

 著者は、自殺したくなるほど辛(つら)い境遇に陥り、そこからはい上がった11人に「勇気とは」と問い掛ける。
 例えば、仙波敏郎さん。彼は現役警察官でありながら、愛媛県警の裏金を内部告発した。そのためいじめ、昇格ストップ、左遷など数々の苦難にあう。しかし警察官の仕事に誇りを持つ彼は、信念を貫き、警察官の仕事を全うする。「みんなが少しずつの勇気を出せば組織は変わる」と彼は言う。
 さらに、高遠菜穂子さん。彼女はイラクで貧しい人たちの支援活動中に武装勢力の人質になってしまう。ようやく解放され、帰国したが、危険な国に勝手に行った愚か者として強烈なバッシングにあう。心が折れてしまいそうな彼女を立ち直らせてくれたのは、イラクの人たちの感謝の言葉だ。彼女は「私は命にこだわると決めました」と言い、再びイラクに赴く。
 日本は、自殺者が12年連続で3万人を超える異常なほど生き辛い社会。だからこそ著者は、自分に正直になり「勇気の種」を探そうと呼びかける。ジュニア向けだが、悩める大人も読めば、きっと生きる力がわいてくる。
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 岩波ジュニア新書・819円

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