書評・最新書評

就活エリートの迷走 [著]豊田義博 

[評者]四ノ原恒憲(朝日新聞記者)

[掲載]2011年02月20日

[ジャンル]社会 新書

表紙画像

■勝ち抜いた末「戦力外」の理由とは

 不況の中、大学生の就職活動(就活)は、厳しい。が、著者は、激戦を勝ち抜いた「就活エリート」の多くが、近年「戦力にならない」という嘆きをよく耳にする。「極度に失敗を恐れる」「自分の能力を棚に上げ、要求ばかりする」……。
 原因は画一化した就活システムそのものに問題があるという。ネットの発達で、膨大に増えた応募者を選別するためどの企業も「エントリーシート」の提出をまず求める。「やれること」ではなく「やりたいこと」を問い、自分探しを強いた結果、非日常的なきれいに整理された情報で粗選考。面接で人物を見極めようとする。でも、日頃から場の空気を読む能力にたけた「就活エリート」たちは、いずれもゲーム感覚で乗り越え、入社後、「やりたいこと」ができない現実に挫折する。
 彼らのためにはじき出された応募者も含め、皆が“不幸”ではないか。いかに、お互いの日常の姿を知るか。提言される長期のインターンシップの導入や「縁故」の見直しなど、新卒に限らない多彩な就活ルートは、一考に値する。若者や企業、そしてこの国の未来のためにも。
 四ノ原恒憲(本社編集委員)
    *
 ちくま新書・798円

関連記事

ページトップへ戻る