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必生 闘う仏教 [著]佐々井秀嶺

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)

[掲載]2011年01月16日

[ジャンル]人文 新書 国際

表紙画像

■インドの仏教復興運動の先頭で

 1967年にインドに渡り、仏教復興運動の先頭に立ってきた佐々井氏。彼は多くのインド人仏教徒から支持され、2003年にはインド政府少数者委員会の仏教徒代表にも選出された。本書は、彼の語りをまとめた一冊。
 インドでは「ダリト」といわれる最底辺のカーストの人々が、ヒンドゥー教を捨てて仏教徒に改宗する動きがある。佐々井氏は彼らを率い、その権利獲得を訴えてきた。
 佐々井氏は、ヒンドゥー教徒が握るブッダガヤーの大菩薩(ぼさつ)寺管理権を仏教徒の手に奪還する闘争を展開。時に命を狙われてきたという。
 彼は厭世(えんせい)的な仏教を嫌い、「闘う仏教」を標榜(ひょうぼう)する。不当な行為に対しては非暴力で徹底的に抵抗し、時には「必要最小限の力の行使」を選択する。曰(いわ)く「座禅や瞑想(めいそう)は、立ち上がってからなにをするか、そのためにあると思います」。
 苦悩の中、自殺未遂を繰り返し、絶望の淵(ふち)に立った若き日のことも赤裸々に語られている。仏教との出会いも生々しい。
 「さあ、立ち上がってください」というメッセージは重い。
 中島岳志(北海道大学准教授)
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 集英社新書・735円

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