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PAPA&CAPA―ヘミングウェイとキャパの17年 [著]山口淳

[評者]逢坂剛(作家)

[掲載]2011年06月12日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能 ノンフィクション・評伝

表紙画像

■けんかしては仲直りする2人

 作家ヘミングウェイと従軍カメラマンのキャパは、スペイン内戦を通じて、親しい友人になった。著者は2人の交流に焦点を絞って、さまざまな資料を渉猟し、本書を書き上げた。子供っぽい理由で二度も三度もけんか別れしながら、いつの間にか仲直りする2人の関係が、ほほえましい筆致で描き出される。
 ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』が映画化される際、キャパが出演しようとしきりに運動するくだり、ヘミングウェイと妻のマーサを、別れさせようとキャパが知恵を絞るくだりは、ことにおもしろい。功なり名を遂げながら、2人ともその名声の陰に種々の苦しみ、悩みを抱えていたことがよく分かる。
 本書には、キャパが撮ったヘミングウェイの写真が、多数収められている。さすが、と思わせるショットも何枚かあるが、多くは素人にも撮れそうな、素朴な写真だ。
 だからこそ、キャパの作品は見る者に、独特の親近感を抱かせるのだろう。

 逢坂剛(作家)
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 阪急コミュニケーションズ・2100円

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