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だれか来ている―小さな声の美術論 [著]杉本秀太郎

[評者]

[掲載]2011年08月28日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 その一つ一つが完結した小宇宙のような40余のエッセーで編まれている。
 それぞれの空には、中国・後漢時代の墳墓からの出土品、江戸の赤楽茶わん、上村松園の日本画から、中世フランスのタピスリー、ベックリン、レンブラント、ゴーギャンらの絵画などが、星として輝く。フランス文学、日本の古典文学、俳句から本草学などの多彩な雲に彩られながら。
 多岐に富む素材は、様々な媒体に書き、また講演したものを集めた、という成り立ちに由縁する。往々にして、この種の短文集は、雑駁(ざっぱく)な読後感に陥りがちだが、それがない。古今東西の芸術に通じた著者の動かぬ審美眼が持つ引力。その強さゆえだろう。(青草書房・2520円)

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