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辻村深月「水底フェスタ」書評 田舎のどろどろとした人間関係

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2011年09月11日
水底フェスタ 著者:辻村 深月 出版社:文藝春秋 ジャンル:小説・文学

ISBN: 9784163807706
発売⽇:
サイズ: 20cm/363p

水底フェスタ [著]辻村深月

 人口2千人ほどの山奥の村に住む高校生の湧谷広海は、村を捨てて東京でモデルになった織場由貴美と夏フェスの会場で出会い、やがて恋に落ちる。年の差は8歳。由貴美の帰郷の目的は村への報復だった。村長の息子である広海は、由貴美から村長選挙をめぐる不正の話を聞き、半信半疑ながらも決定的な証拠を見つけようと動き出す。そんな中、物語の重要人物の1人が殺される。
 広海の純愛、殺人事件、村ぐるみの不正が複雑に絡み合いながら、平穏な日常に隠れた田舎のどろどろとした人間関係と閉鎖性、秘密主義がえぐり出されていく。著者が得意な青春ミステリーとは一線を画す意欲作だ。
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 文芸春秋・1500円