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あの時、ぼくらは13歳だった [著]寒河江正、羅逸星

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2011年10月23日

[ジャンル]社会

表紙画像

■日韓交流の真の立脚点を示す

 日本帝国主義下の朝鮮で、1945年の4カ月半、中学生として共に机を並べた日本人と韓国人。41年ぶりの再会後、二人の間で忌憚(きたん)のない会話を交わし続けた。それが本書になるのだが、当時13歳の少年たちの目に、植民地経営の実態、第2次大戦とその終戦、朝鮮の解放、さらにその後の朝鮮戦争はどう映ったのか。まさに「教科書に載らない話」が語り伝えられている。
 友情のきっかけはある一言から。朝鮮の中学校では朝鮮語を使ってはいけないとの校則があるのだが、羅逸星(ナ・イルソン)は、つい使う。それをなじる日本人同級生に寒河江正(さかえ・ただし)は、怒鳴る。「朝鮮人が朝鮮語を話して何が悪いんだ!」と。
 こうした史実(ほかにも創氏改名の内幕、日本人教師の暴力など)にふれていくと、日韓の真の交流とは何が立脚点になるのかを改めて理解できる。〈歴史〉を生きる、あるいは見つめるというのは、記憶をもとに教訓を次代に託すということだが、その範たり得る書である。
    ◇
 東京書籍・1680円

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