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ミュージッキング 音楽は〈行為〉である [著]クリストファー・スモール

[評者]斎藤環(精神科医)

[掲載]2011年10月30日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

■存在を祝福し、肯定する音楽

 “音楽というモノ”は存在しない。著者は断言する。あるのはミュージッキングなのだと。それは作曲家や演奏家の専有物ではない。リスナーも、ダンサーも、ローディーも、チケットのもぎりも、およそ音楽に関わるすべての人々は、ミュージッキングに参加している。
 そう考えることで、音楽は一方的な鑑賞の対象であることをやめ、あらゆる“関係性”に開かれたパフォーマンスとなる。この視点から、とあるシンフォニー・コンサートの成立過程が詳しく検討される。そこで何が起こっているのか。
 ミュージッキングとは関係することだ、と著者は言う。それは「関係を探求し、確認し、祝う」ことなのだ。
 音楽の精神分析が難しいのはなぜか。ようやくその謎が解けた。分析において重要なのは「否定」や「否認」だ。しかし音楽には「否定」がない。そこにあるのは祝うこと、すなわち存在の肯定なのである。
    ◇
 野澤豊一・西島千尋訳、水声社・4200円

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