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計画と無計画のあいだ―「自由が丘のほがらかな出版社」の話 [著]三島邦弘

[評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)

[掲載]2011年11月20日

[ジャンル]経済

表紙画像

■本作り楽しむ小出版社の「熱」

 東京・自由が丘にある築50年の小さな民家。ここにミシマ社がある。取次店を通さず、直接、書店に卸し、手作りのPOPで売り出す。社員数人の小出版社ながら、オリジナリティーの高い話題の本を次々に出版している。
 著者はミシマ社代表。二度の出版社勤務を経て、独立した。社内はすべて畳敷き。会議はちゃぶ台を囲んで行われる。正午から3時間は、パソコンオフタイム。月曜日の朝、みんなで掃除をし、席替えをする。時には宿を決めずに社員一同、合宿に出かける。著者は「野生感覚」を大切にし、「原点回帰」を目指す。
 ミシマ社のモットーは「一冊の力を信じること」。読者対象はあえて想定しない。書き手と編集者の「熱」をこぼさずに、どうやって読者の手に届けるかを、徹底的に工夫する。とにかく本を作ることを楽しんでいる出版社だ。その姿勢が、柔軟なアイデアにつながっているのだろう。「原点」を大切にすることの重要さを教えてくれる一冊。
    ◇
 河出書房新社・1575円



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