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『脱原発「異論」』書評 脱原発運動の思想的検証の書

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2011年11月27日
脱原発「異論」 著者:市田 良彦 出版社:作品社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784861823558
発売⽇:
サイズ: 21cm/211p

脱原発「異論」 [著]市田良彦ほか

 脱原発ではエネルギー危機になるとか経済がたちゆかない、という「異論」ではない。原発に批判的であり、さまざまな社会運動にコミットしてきた40代から60代の5人の論者による、脱原発運動の思想的検証の書。脱原発運動は内部の議論を避けているのではないか、「反原発」と「脱原発」の違いは何か、反原発は「反資本主義」へ結びつくか、そんな討議が交わされる。
 しかし、決して団塊オヤジの昔語りではない。全共闘世代が「タネが蒔(ま)ける土壌を荒らしてきた」という自己批判もある。反論もあろうが、本書あとがきにあるように「議論の『厚み』と『蓄積』が、運動と組織には必要だ」ということに間違いはないだろう。
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 作品社・1890円