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司法記者 [著]由良秀之

[評者]逢坂剛(作家)

[掲載]2011年12月04日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■地検特捜部の知られざる内実

 元検事の著者は、昨年来の地検特捜部の不祥事に触発されて、本書を書く決心をしたと推察できる。というのは、特捜部の捜査の実態を、ここまで赤裸々に書いた本は、ほとんどないからである。
 ある司法記者のマンションで、競合紙の女性記者の死体が発見され、捜査が始まる。それと並行して、10カ月ほど前に起きた建設汚職事件に取り組む特捜検事たちの動きが描かれる。
 若手検事の織田俊哉は、憧れて入った特捜部の捜査、取り調べの暴虐ぶりに愕然(がくぜん)とする。そのやり方は、あらかじめでき上がった筋書きにそって無理やり事件を構築し、容疑者に自白を強要するひどいものだった……。織田は、その方針に従うことができず、結局、捜査からはずされる。
 小説としても、ミステリーとしても弱点はあるが、特捜部の知られざる内実や、検事と司法記者との隠微な関係を暴露して、さすがに説得力がある。検察には耳の痛い、一気読みの力作だ。
 逢坂剛(作家)
    ◇
 講談社・1680円

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