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「怪男児 麿赤兒がゆく」書評 肉体がうごめくような文章

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2011年12月11日
怪男児麿赤兒がゆく 憂き世戯れて候ふ 著者:麿 赤兒 出版社:朝日新聞出版 ジャンル:芸術・アート

ISBN: 9784023309814
発売⽇:
サイズ: 20cm/263p

怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世 戯れて候ふ  [著]麿赤兒

 ずいぶん少なくなったが、舞台や画面に登場しただけで、他を圧する存在感を放つ演者がいる。著者が、その一人であることに、異論を唱える人は少ないだろう。初の自伝的エッセーに描かれる奔放な生き方も、また存在感たっぷりだ。
 参加した唐十郎率いる状況劇場の、機動隊に囲まれながらの無許可でのテント公演や、今や伝説と化した寺山修司率いる天井桟敷との渋谷乱闘事件の実態。後に、独立した際の北海道への抱腹絶倒の出演料取り立て記や大物右翼会見記、また今も率いる舞踏集団、大駱駝(だいらくだ)艦を巡る動乱と熱狂の日々……。どこを切っても、肉体がうごめくような文章にのぞく日々を慕うは郷愁か。
    ◇
 朝日新聞出版・2415円