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幸せな未来は「ゲーム」が創る [著]ジェイン・マクゴニガル

[評者]山形浩生(評論家)

[掲載]2011年12月18日

[ジャンル]IT・コンピューター

表紙画像

■「現実を直す」世界観の大転換

 ゲームは、現実逃避だとしてよく非難される。でも、善行や努力の報いが明確でない現実にくらべ、ゲーム界での善行はすぐに結果が見える。つまらない作業や勉強や共同作業もゲーム仕立てなら楽しくなる。だからゲームを敵視せず、現実改善に役立てよう、と本書は主張する。
 事例は豊富だが、有益なゲームもあるというだけなら旧聞。本書の妙味は、目的性や努力の結果が不明確だから「現実は壊れている」(原題)として、それが明確なゲームこそ正しい姿とした、ゲーム中心主義とも言うべき世界観にある。従来の、「ゲームだって役にたつからいじめないで」的な卑屈さから一転、ダメな現実をゲームで直してやるという剛毅(ごうき)さは天晴(あっぱ)れ。
 むろんまだすべてゲームですむほど現実は甘くない。が、予想外の現実がゲーム化できているのも事実。すると本書は単なる開き直りの大風呂敷なのか、はたまた来る現実総ゲーム化時代の予言か? それは読者の判断次第。
    ◇
 藤本徹・藤井清美訳、早川書房・2940円

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