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昭和切手少年  [著]泉麻人

[評者]

[掲載]2012年01月22日

[ジャンル]人文

表紙画像

 昭和の一時期、切手は子どもの趣味の王様だった。漫画雑誌の広告やこぼれ話、懸賞賞品の常連でもあった。1956年生まれの著者が少年のころは、安藤(歌川)広重「月に雁(かり)」と菱川師宣(もろのぶ)「見返り美人」が東西の横綱で、横山大観の「霊峰不二(霊峰飛鶴)」、67年に始まった国宝シリーズは期待のルーキー。若戸大橋や名神高速道路も斬新な構図で描かれた。切手は「国民文化」の小さなレプリカだったが、同時に子どもが集め、めでることのできる「美術工芸品」でもあった。キャラや幻想より実体がモノを言った時代。渋い質感を放つ凹版印刷切手や、地味な描写に味わいを秘めた逸品「蒲原」に寄せる情感が、いかにも60年代の少年だ。
    ◇
日本郵趣出版・1575円

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