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贖罪 [著]読売新聞社会部

[評者]

[掲載]2012年01月29日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 元は読売新聞で2009年11月から1年余り続いた記事。裁判員制度をにらみ、犯罪者の矯正がいかに難しいか、適切な量刑判断とは何か、を読者に考えてもらうための企画だという。本書を一読すれば分かる。その難しさは想像を絶している。私たちは反省するふりと反省していることの区別を持たない。周囲だけでなく、時に受刑者本人にさえ分からない。現代日本社会には罪業に苦しむ物語も、ゆるしに至る物語もない。「あとがき」には「忘れたい」加害者と「忘れられない」被害者のギャップが広がっていく、とある。裁判員も読者もこの空虚に、個人の「思い」で橋を渡すのはつらかろう。誠実でありたいと願えば願うほどに。
    ◇
中央公論新社・1575円

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