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「贖罪」書評 犯罪者の矯正がいかに難しいか

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年01月29日
贖罪 著者:読売新聞社会部 出版社:中央公論新社 ジャンル:法学・法律

ISBN: 9784120043130
発売⽇:
サイズ: 20cm/253p

贖罪 [著]読売新聞社会部

 元は読売新聞で2009年11月から1年余り続いた記事。裁判員制度をにらみ、犯罪者の矯正がいかに難しいか、適切な量刑判断とは何か、を読者に考えてもらうための企画だという。本書を一読すれば分かる。その難しさは想像を絶している。私たちは反省するふりと反省していることの区別を持たない。周囲だけでなく、時に受刑者本人にさえ分からない。現代日本社会には罪業に苦しむ物語も、ゆるしに至る物語もない。「あとがき」には「忘れたい」加害者と「忘れられない」被害者のギャップが広がっていく、とある。裁判員も読者もこの空虚に、個人の「思い」で橋を渡すのはつらかろう。誠実でありたいと願えば願うほどに。
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中央公論新社・1575円