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ホーダー 捨てられない・片づけられない病 [著]ランディ・O・フロスト、ゲイル・スティケティー

[評者]辻篤子(本社論説委員)

[掲載]2012年02月05日

[ジャンル]社会

表紙画像

■人にとってモノとは何か

 ホード(hoard)とは金や財宝、あるいは知識を蓄積することで、そこに決して否定的な意味合いはない。
 蓄積が高じ、社会生活に破綻(はたん)を来すまでなるとホーディング(ガラクタ収集癖)と呼ばれ、強迫性障害の一つとされる。ゴミ屋敷などとして話題になるのがそれだ。
 本書は、そのホーダーたちの心に分け入り、治療に努めてきた記録である。ホーダーの多くは知的で、ガラクタや、ときには動物たちで自宅を埋め尽くす以外には全く問題がないことも多い。それぞれに意味があり、捨てられないのだ。
 人は「持つ」と「在る」の二つの傾向で特徴づけられるとし、所有物に支配される社会を予見したのは精神分析医のエーリッヒ・フロムだ。
 過剰消費社会の病理ともいえようが、決して遠い話ではないことにも気づかされる。人にとってモノとは何か、そこにはそんな問いがある。
 と、今にも崩れそうな紙の山を見やり、考えてみる。
    ◇
 春日井晶子訳、日経ナショナルジオグラフィック社・1995円

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