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養老孟司・隈研吾「日本人はどう住まうべきか?」書評 ほとんど何も変わらなかったのか

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2012年02月26日
日本人はどう住まうべきか? 著者:養老 孟司 出版社:日経BP社 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784822248895
発売⽇:
サイズ: 19cm/196p

日本人はどう住まうべきか? [著]養老孟司・隈研吾

 読み進むうち、何だか悲しい気持ちになる。何故か。収められた解剖学者と建築家の対談は4年前のものを中心に、3・11以後再び話し合われたもので構成されている。阪神大震災を踏まえた前者で語られる都市の在り方への疑問の多くが、今回の大震災後にも当てはまるのだ。この間、ほとんど何も変わらなかったのか、と。
 液状化問題は建築、土木の縦割り世界の境界にあるので、どっちも責任を感じていない、等々、刺激的な発言も続く。とても不安定な国土に住んでいる以上、高台移転など一律の基準ではなく、その土地土地の事情に応じ、「だましだまし」補強しながらやっていくしかない、という提案が妙に心に残る。
    ◇
日経BP社・1260円