書評・最新書評

夢さめみれば―日本近代洋画の父・浅井忠 [著]太田治子

[評者]

[掲載]2012年03月04日

[ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能

表紙画像

 日本近代洋画の父といえば、普通は黒田清輝といわれるが、著者は黒田より10歳年長の浅井忠こそふさわしいと肩入れする。黒田は明治政府の顕官の子弟だったが、浅井は老中・堀田正睦を出した佐倉藩の武士の子。洋画で新しい絵の道を開こうとして岡倉天心らの「西洋画排斥運動」に遭う。フランスにいた黒田はそうした苦難も知らない。浅井が黒田に15年遅れて留学したフランス・パリ郊外のグレー村や千葉県・佐倉などゆかりの地を訪ね、著者は少ない手がかりの中に浅井の消息を探る。また一面で、成島柳北、小山正太郎ら浅井周辺の官軍に敗れた側の人々を通して、国家主義的でない「違う明治」の可能性を見ているようにも思える。
    ◇
 朝日新聞出版・1785円

関連記事

ページトップへ戻る