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消費増税では財政再建できない―「国債破綻」回避へのシナリオ [著]野口悠紀雄

[評者]植田和男(東京大学教授)

[掲載]2012年03月04日

[ジャンル]社会

表紙画像

■社会保障費の抑制が不可欠

 本書は日本の財政問題について数々のユニークな見方を提供してきた野口氏による日本の財政の維持可能性に関するエッセー集である。書名を「消費増税だけでは財政再建は難しい」と多少言い換えれば、これはユニークというよりは、いまやきわめて多くの経済学者が共有する意見だと言えよう。
 すでにグロスでは国内総生産(GDP)の200%を超える政府債務が存在する。その利払い費が毎年増え続けている。それ以上に深刻なのは高齢化による社会保障費の増加傾向である。消費税率の5%から10%程度への引き上げでは焼け石に水に過ぎない。
 本書によれば、消費税増税だけで国債を減らしていこうとすれば、30%もの禁止的な税率が必要になる。従って、財政再建のためには、大幅な消費税率の引き上げと社会保障費のはっきりとした抑制が不可欠である。
 このメッセージを当然と思う人にも初耳という人にも広くすすめたい書物である。
    ◇
 ダイヤモンド社・1575円

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