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ファイヤーボール [著]原宏一

[評者]

[掲載]2012年03月18日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 奇想小説の書き手による新作は、地域で生み出す祭りが主題だ。
 商社マンの咲元は、社内抗争のあおりで閑職に追いやられ、早期退職する。そんな中、妻から押しつけられた町内会に出席して、守旧派を前に「いまの十倍は盛り上がるフェスタ案をつくってみせましょう」と不用意に発言。新しい「祭り」を作り出さなければならない羽目に陥る。悩んだ末にたどり着いたのが「火の玉転がし」。隣接する二つの地域の代表が、直径3メートルの火の玉を転がして雌雄を決するという馬鹿馬鹿しい祭りに、家族や地域の人たちが燃え、海外から取材も来るほど盛り上がる。リストラ時代の生きがいや人情といった味付けが絶妙。
    ◇
PHP研究所・1680円

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