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女中がいた昭和 [編]小泉和子

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)

[掲載]2012年04月15日

[ジャンル]歴史

表紙画像

■待遇、背景は? 多角的に考察

 昨年、「家政婦のミタ」というドラマが大ヒットしたことは記憶に新しい。家族の中の他人、という家政婦の微妙な立場をテーマにしたドラマは多いが、「家政婦の〜」では有能だけれどロボットのような主人公が話題を呼んだ。
 「家政婦」「お手伝いさん」、その前は「女中」。住み込みや通いで家事を手伝う女性について、本書はサラリーマン家庭にも普通に女中がいた昭和前半にスポットライトを当てて論じている。なぜ女中が求められたのか、待遇はどうなっていて、地方の若い女性が女中として都会に出てきたのにはどんな背景があったのか。プライバシーがなく、主家の男性に犯されるなどの悲惨な事件もある一方で、女中をやってよかったという人の体験談も載っている。さらに、戦後の占領軍の家庭で働いたメードや、朝鮮人の女中についても一章が割かれており、多角的な視点から女中という職業が考察されている。日本の近代化と家事労働について考えさせられる一冊だ。
    ◇
 河出書房新社・1680円

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