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地図集 [著]董啓章

[評者]

[掲載]2012年04月22日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 著者は香港の作家。表題作は、未来の考古学者が、古地図や古文書を元に返還前の香港を探り出す、という設定。まじめな学術書のように見せながら、登場する街や通りはどれも実在しない。都市の存在はいかに証明されるのか、という問いがまじめな大ぼらにこもっている。
 この小説集を日本で読めるのは作家の中島京子が米・アイオワ大で著者と出会った「奇跡」による。作品にほれこみ、「日本の読者に紹介したい」と藤井省三を訪ねたら「あなた自身が翻訳すること」。この条件で邦訳の出版が実現した。中島訳の短編「少年神農」も中国の神話と現代の恋愛がからんだ不思議な物語だ。
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 藤井省三、中島京子訳、河出書房新社・2520円

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