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盤上の夜 [著]宮内悠介

[評者]

[掲載]2012年04月29日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 囲碁や将棋、チェッカーなど伝統的な対局ゲームをテーマにした奇想短編集。この分野は近年コンピューターによる解析が急激に進んできた。ゲームという機械向きの「演算の山塊」に、生身で立ち向かう人間の苦しみと狂気が色濃く漂う。
 表題作では、四肢を切断された少女が囲碁棋士となり、碁盤を介して新たな感覚の世界を構築しようとする。著者は30代前半の元プログラマーだが、海外経験が豊富でマージャンのプロを目指したこともある。舞台を競技マージャン大会に設定し、無私の女性シャーマンの完璧な読みを、3人の男たちが我欲で混乱させようとする「清められた卓」は、さすがに勝負のアヤへの洞察が深く、秀逸だ。
    ◇
 東京創元社・1680円

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