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キレイならいいのか ビューティ・バイアス [著]デボラ・L・ロード

[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)

[掲載]2012年04月29日

[ジャンル]社会

表紙画像

■なぜ女性だけ外見を問われるの

 著者はスタンフォード大学で法律を講じる女性の教授。いつもセーターにコール天パンツという地味な服装だったが、大学の研究所長に就任した途端にファッションチェックが入り始めた、という個人的な体験からこの本は書き始められている。男性ならスーツさえ着ておけば文句は言われないのに、女性はなぜ化粧や髪形など、男性以上に外見に気をつかわなければいけないのか?
 著者は法律家の目で、アメリカに蔓延(まんえん)する容姿差別を批判し始める。太ることや老いることへの不安をあおるような、過度な美容・ダイエットブームの弊害を指摘し、外見や服装に関して、雇用者が従業員に一方的なジェンダーイメージを押しつけることに警鐘を鳴らす。個人的におしゃれを楽しむことはもちろん否定しないけれど、広告に踊らされ、「美」の強制に自分を見失いそうな人に「待った」をかける。自分自身のなかにある偏見に気づかせてくれる、啓蒙(けいもう)的な本だ。
    ◇
 栗原泉訳、亜紀書房・2415円

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