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食の終焉―グローバル経済がもたらしたもうひとつの危機 [著]ポール・ロバーツ

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2012年05月13日

[ジャンル]経済

表紙画像

■楽観できない、もろいシステム

 今やスーパーの食品売り場では世界中のあらゆる食材が手に入る。それを支えるのは大量生産・低価格化の流通をひたすら追求する食のサプライチェーンだ。だが筆者はこの食システムの基盤は極めてもろい存在だと言い、早晩破綻(はたん)は必至だと警告する。
 たとえば鳥インフルエンザウイルスや食中毒を引き起こす病原菌などの増殖リスクはむしろ以前より高まった。人口膨張、農産物の増産に次ぐ増産は深刻な土壌悪化や水資源問題を引き起こしている。その先に見込まれるのは地球規模の穀物不足という、より深刻でやっかいな問題だ。
 食の未来に楽観の余地は少ない。破綻回避に一刻も早く動かねばならない。読者はそう確信するだろう。だが、それもたやすくないことだと、本書で思い知らされる。
 改革の道を立ちふさぐのは既得権益を握る巨大食品産業だけではない。その背後にいる究極の「抵抗勢力」は、豊かさや便利さを手放せない私たち消費者自身なのだ。
    ◇
 神保哲生訳、ダイヤモンド社・2940円

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