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世界を救う処方箋―「共感の経済学」が未来を創る [著]ジェフリー・サックス

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2012年07月22日

[ジャンル]経済

表紙画像

■米国の再興策、具体的に提案

 国際経済学の権威である著者は過去の著作で、人口、環境、貧困など地球規模の問題をとりあげ、解決を主導することが期待される米国がそれを果たしていないと批判してきた。今回はそのほこ先を米国社会そのものに向ける。
 巨額の財政赤字、政治の機能不全、貧富の格差、教育や医療の劣化。米国は市場と政府のバランスのとり方を誤り、経済的にも社会的にも危機に陥っていると指弾する。
 具体的な処方箋(しょほうせん)も示す。要は政府の役割を復活させ、きちんと税金を集めて公共財を提供しなさいという提案だ。
 原題の「文明の対価」は、古き良き米国の最高裁判事ホームズ・ジュニアの言葉「私は税金を払うのが好きだ。それは文明を買うことだから」からとった。現代日本の消費増税にも通底するテーマだ。
 豊かさの象徴としてずっと世界の目標だった米国。その国家再興が、世界に新しい価値観の目標をかかげる試みだとすれば、「世界を救う〜」の邦題にも意味があろう。
    ◇
野中邦子・高橋早苗訳、早川書房・2415円


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