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なぜ、1%が金持ちで、99%が貧乏になるのか? [著]ピーター・ストーカー [訳]北村京子

[評者]原真人(本社編集委員)

[掲載]2012年08月26日

[ジャンル]経済

表紙画像

■理不尽な状況を変えるために

 難解な専門用語が飛び交う金融は、専門家たちにまかせておけばいい世界だった。きっと彼らがうまくやってくれる、と人々は信じていた。それは甘すぎる期待だった。
 2008年のリーマン・ショックのあと、世界中の人々が目の当たりにしたのは巨大金融機関の身勝手な姿だ。預金者や個人投資家ら「99%の人々」にとてつもないリスクを負わせ、法外な利益を得る。経営に失敗すると、自分たちだけは税金で救済してもらう、というように。
 本書は、その理不尽な状況を変えるために何が必要か、それはなぜなのかを、99%の人々に訴える書だ。難解な金融専門用語のやさしい解説や、駆け足でたどる金融史はそのための準備である。
 そして最終章で、大きくなりすぎた銀行は解体せよ、あやしげなデリバティブ取引は禁じろ、タックスヘイブン(租税回避地)は閉鎖せよ、などと訴える。過激なアイデアも、現実の前では至極まっとうな提言と読める。
    ◇
作品社・2310円

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