書評・最新書評

映像に見る地方の時代 [著]村木良彦

[評者]後藤正治(ノンフィクション作家)

[掲載]2012年09月02日

[ジャンル]人文 社会

表紙画像

■〈現在〉を超えんとする仕事

 拙宅の本棚に『お前はただの現在にすぎない』という本がある。副題は「テレビになにが可能か」。刊行は1969年。この後まもなく、3人の書き手はTBSを退社し、テレビマンユニオンを立ち上げる。この本を手放さずにきたのは、刺激的でかつ、どこか含羞(がんしゅう)を含んだ表題のせいもあったろう。
 随分と時が過ぎた。本書は、書き手の一人、村木良彦がテレビ局のドキュメンタリー作品を論評したエッセー集であるが、遺稿ともなった。「地方の時代・映像祭」がはじまったのは1980年。志と情熱を頼りに、地方局のテレビマンたちは毎年、ドキュメンタリーの秀作を映像祭に寄せてきた。村木は審査委員やプロデューサーとして映像祭にかかわってきた。
 ますます刹那(せつな)のメディアとなっていくテレビ界にあって、地域、人々、歴史、時代……を見詰めるなかで〈現在〉を超えんとする仕事が、東京のキー局の外で在り続けてきたことを感慨深く思う。
    ◇
博文館新社・2310円

関連記事

ページトップへ戻る